水虫(白癬)
- 水虫(白癬)とは?
- 症状
- 原因
- 診断
- 治療
- ポイント
1. 水虫(白癬)とは?
水虫(白癬)は、皮膚科領域ではとてもよく見かける疾患で、皮膚糸状菌という真菌(カビ)が繁殖して生ずる皮膚の感染症です。皮膚糸状菌は白癬菌と呼ぶこともあります。
白癬菌は「ケラチン」という蛋白を栄養源にしているカビです。そのため、ケラチンが多く存在する、皮膚の表面を覆う角層に病変を作ります。
2. 症状
白癬菌感染のおよそ9割は足にみられますが、爪や髪の毛、体部、股部、手といったように様々な場所にも感染し、感染した場所によって病名が異なります。ここでは感染部位ごとに症状について説明します。
2-1. 足白癬
足白癬は次の3つのタイプに分けられ、それぞれ症状も異なります。
- 趾間びらん型
足の指の間にできやすく、赤くただれたようになったり、白くふやけ皮がむけてびらんになったり、むずがゆい感じを伴うタイプです。
- 小水疱型
湿度の高い初夏から梅雨時に症状が出現したり増悪したりすることが多く、秋から冬には改善する傾向があるタイプです。足の裏の土踏まずやなどに小さな水疱ができ、皮がむけていきます。また、非常にかゆくなるのが特徴です。
- 角質増殖型
足の裏全体、特にかかとの皮膚が厚く硬くなって、皮がむけてくるタイプです。かゆみはありません。1年中を通してあまり変化しませんが、冬になると角質の乾燥が増強し、皮膚がむけたり、あかぎれのようなひび割れを起こしたりして、痛みを伴う場合もあります。
2-2. 爪白癬
爪が白く濁って光沢がなくなり、もろくなります。爪の下からはボロボロと粉のような角質が出てきます。
2-3. 体部白癬
顔面や首をはじめ、体のあちこちに発生します。最初の頃は虫さされのような赤いブツブツができ、その後円状になって広がり、激しいかゆみや炎症を起こします。
2-4. 股部白癬
股の付け根から太ももの内側に向かって発疹を生じます。自分自身の足白癬や爪白癬から感染して発症するケースが多いです。
2-5. 頭部白癬
頭皮に乾燥した発疹、斑状の脱毛などが生じます。
3. 原因
原因は白癬菌(カビの一種)の感染によるものです。皮膚の角層という部分にあるケラチンを栄養源にしながら寄生領域を広げていきます。また、白癬菌はジメジメとした高温多湿な環境を好みます。
白癬菌のなかで最も多いのが足白癬です。家庭内に白癬菌感染者がいる場合や温泉場や銭湯といった公共の施設の足拭きマットを使用する場合、足白癬がうつることがあります。入浴後に、白癬菌が足に付着し、白癬菌が付着したまま靴下・靴を履き続けると、白癬菌の好む環境になりやすく、菌が増殖して足白癬になってしまう可能性が高まります。
白癬菌は人ばかりでなく動物にもあります。そのため白癬になった動物と接触していると、人に感染することがあります。特にミクロスポルム・カニスというカビは、犬や猫に感染しているので、白癬にかかった犬猫と接触していると、接触した顔や体、髪の毛に白癬が生ずることがあります。
4. 診断
白癬菌をはじめとした皮膚真菌症の診断の基本は顕微鏡で直接みる直接鏡検で、病変の部分に菌がいることを確認することです。皮膚の表面に存在する角層や毛、爪に寄生するので、白癬菌が寄生している部位をつまみ取り、顕微鏡で観察します。その場で病変の原因となる菌を確認することができるため、すぐに治療につなげることができます。また、場合によっては培養検査をすることではじめて感染症の原因となる真菌がわかることもありますので、必要に応じて培養検査やそのほか、採血検査なども補助的に行うことがあります。
5. 治療
皮膚の角層に感染した白癬は、抗真菌作用を有する外用薬(塗り薬)で治療します。角層がかなり厚くなっているタイプや、白癬菌が髪の毛や爪に寄生している場合は、内服薬で治療することもあります。ただし、内服薬は全ての白癬に有効な一方で、副作用や他の薬剤との飲み合わせの問題もあります。
- 外用薬
足白癬、体部白癬,股部白癬では,白癬菌に効果のある薬(抗真菌剤)を含んだ塗り薬での治療が一般的です。塗り薬はその形態から、①軟膏(なんこう)製剤、②クリーム製剤、③液体製剤の3つに分けられます。液体やクリーム製剤は使い心地が良いですが、ジクジクした水膨れや傷を伴う病変ではしみやすいです。一方、軟膏はべたつきがありますがジクジクした水膨れや傷を伴う病変ではしみにくいです。
- 内服薬
塗り薬では効果の出にくい爪白癬、頭部白癬などでは飲み薬での治療が主体となります。内服は数か月に渡り長期に継続する必要があります。また、安全に治療をすすめるため、定期的な血液検査の実施が必要です。
6. ポイント
白癬菌感染の治療を長引かせずに効果的に行っていくためのポイントです。
- 外用薬は毎日しっかり塗る お風呂上りに塗るのがおすすめ
- 薬は症状のある部分だけでなくその周囲を含め広く塗る
- 見ための症状が良くなっても医師の指示のあるうちは塗り続ける
- 靴下や靴や通気性の良いものを選ぶ
- 清潔を心掛ける(毎日入浴し、こすらず石鹸でよく洗う)
- 洗った後は水分をしっかりふき取り乾燥させる
- バスマットやタオル、スリッパの共有はしない