水いぼ(伝染性軟属腫)
- 概要
- 診断
- 治療
- ピンセットでつまみ取る
- 液体窒素で凍らせる
- 銀イオン含有のクリームを塗る
- 予防法
1. 概要
伝染性軟属腫(水いぼ)は、1歳〜6歳ごろの幼児によく見られます。ウイルス感染が原因で、ポックスウイルスに属する伝染性軟属腫ウイルス(molluscum contagiosum virus: MCV)の皮膚への接触で感染します。ほとんどの場合、数ヶ月~数年で自然に消えていきます。大人でも、白血病や悪性リンパ腫、ステロイドの長期使用などで免疫が著しく低下していると、発症することがあります。ウイルスの潜伏期間は2〜7週間です。
大きさは1mm〜5mmほどで、表面が水に濡れたようにつやつやしています。顔面を含む全身に発生します。潰すと中からは白色の粥状の塊が出てきます。
2. 診断
皮膚科で、問診や視診を行うことで多くの場合診断がつきます。いぼの大きさによっては診断がつかないこともあります。
3. 治療
水いぼは、放っておいても半年〜2、3年で自然治癒するため、最近では無理にいぼを取らずにほっておくことを勧めるクリニックもあるようです。ただ、どれぐらいで自然に治癒するかの正確な判断は困難ですので、どこまで積極的に治療を行うかは、ご本人やご家族の希望、医師の判断になります。
3-1. ピンセットでつまみ取る
先の丸い特殊なピンセットでつまみ取ります。いぼの先端をもぎ取っていきます。やや出血があることもありますが、絆創膏を貼っておけば止血できる程度です。いぼを取ったその日からシャワーに入れます。翌日から普通に生活することができます。
この方法の注意点として、取る時の痛みがあります。小さい子供ですと痛さのあまり泣き叫んだり、暴れることがあります。局所麻酔が含まれた「リドカインテープ」をあらかじめお渡しして、ご来院の1〜2時間ほど前に、いぼを覆う大きさに貼っておいていただく方法を当院では行っています。いぼがたくさんある場合には一度に取りきることができず、数回に分けてご来院いただくことがあります。
3-2. 銀イオン含有のクリームを塗る
銀イオンには強力な抗菌、殺菌作用があります。細菌、真菌、ウイルスにも効果を発揮することがわかっています。銀イオンだけでは肌荒れを起こすため、保湿クリームと混合したものを使用します。平均して、2〜3ヵ月で8割の子供が治るという報告もあります。ただし、それでも時間がだいぶかかることもあります。現在はまだ保険適用ではなく、自費での治療(1本2,200円)になります。
この治療では、銀イオンを含むクリームを一日2回いぼに塗布します。
M-BF creamという製品では、有効率が82.5%(200例中、165例で有効)、有害事象は0.05%(10例)であり、接触皮膚炎が8例、痒みが2例ということです。使用中に、発赤・腫脹・浸出液が出ることもあります。銀は日光に当たると変色するので、暗所保管になります。
4. 予防法
水いぼにかかっていても、感染症法においては、特に生活の制限はありません。子供の場合、関連学会において、「プールの水ではうつりませんので、プールに入っても構いません。ただし、タオル、浮輪、ビート板などを介してうつることがありますから、これらを共用することはできるだけさけて下さい。プールの後はシャワーで肌をきれいに洗いましょう」となっています。
皮膚のバリア機能が低下している状態で感染しやすいですので、日頃のスキンケアが重要になります。手をこまめによく洗い、爪を短く切っておくようにしましょう。