アトピー性皮膚炎の重症度評価
アトピー性皮膚炎(AD)は、見た目だけではその重症度を正確に評価することが難しい疾患です。そこで、重症度や症状の管理状態を定量的に評価するために「スコアリング」を行うことが推奨されています。代表的なスコアリングツールであるADCT、EASI、TARC、そう痒NRSについてご紹介いたします。
アトピー性皮膚炎コントロールテスト(ADCT)
ADCTは、患者自身が現在の病態コントロール状態を自己評価するためのスコアリングツールです。
- スコア範囲: 0~24点
- 0~6点: 良好にコントロールされている
- 7~24点:良好にコントロールされていない可能性がある
スコアは以下の6つの質問に基づき、各質問を0~4点で評価します。
- 直近1週間の症状の程度
- かゆみの頻度
- 悩みの程度
- 睡眠への影響
- 日常生活への影響
- 気分や感情への影響
湿疹面積・重症度指数(EASI)
EASIは、医師が評価する湿疹の面積および重症度を数値化するスコアリングです。
- スコア範囲:0.1~72.0点
- 0.1~1.0点: ほぼ寛解
- 1.1~7.0点: 軽度
- 7.1~21.0点: 中等度
- 21.1~50.0点: 重度
- 50.1~72.0点: 最重度
評価は、頭部、上肢、下肢、体幹の4つの部位において行い、合計します。
血清TARC値(Thymus and Activation-Regulated Chemokine)
TARCは、血液検査で測定される炎症の指標です。
- 正常範囲: 450pg/mL未満
- 450pg/mL以上: 高値
ただし、年齢により正常範囲は異なります。
TARCは、炎症の活動性を反映する重要な指標であり、治療効果の評価にも用いられます。
そう痒NRS(Numerical Rating Scale)
そう痒NRSは、患者自身がかゆみの程度を評価するためのスコアです。
- スコア範囲: 0~10点
- 0点: かゆみが全くない
- 10点: 最も強いかゆみ
評価は、直近24時間におけるかゆみの強度を基準に行われます。
まとめ
アトピー性皮膚炎の重症度を正確に評価し、適切に管理することは、患者様の生活の質を向上させるために不可欠です。上記のスコアリングツールを活用することで、医師と患者様が協力して最適な治療方針を立てることが可能になります。