粉瘤とニキビの違い

今回のテーマは、患者様からよくいただく質問の一つである「粉瘤とニキビの違い」についてです。この二つは見た目が非常に似ているため、混同されがちですが、異なる病態です。

粉瘤とニキビは似ている

粉瘤(ふんりゅう)とニキビは、皮膚に隆起を伴う病変として共通点があります。どちらも皮膚の表面に炎症を引き起こし、赤く腫れたり、膿を持つことがあるため、一見すると区別が難しいことが多いです。

ニキビ(尋常性痤瘡)は、皮脂腺が過剰に活動し、毛穴が詰まることで発生します。これにより、アクネ菌が増殖し、炎症を引き起こします。ニキビは特に思春期の若者に多く見られる一方、大人にもしばしば発生します。

一方、粉瘤(アテローマ)は、皮膚下に袋状の構造(嚢胞)が形成され、その中に皮脂や角質が溜まることで生じます。粉瘤は通常、ゆっくりと成長し、皮膚の下に柔らかい塊として感じられます。

粉瘤には内容物を包む殻があるので手術をしないと繰り返すことがある

粉瘤の最大の特徴は、内容物を包む「嚢壁(殻)」が存在することです。この嚢壁があるため、粉瘤は単なる膿や皮脂の塊とは異なり、手術による摘出が必要になります。嚢壁を完全に取り除かない限り、粉瘤は再発する可能性があります。

一方、ニキビは通常、局所外用治療や抗生物質を使用することで管理されます。ニキビは再発しやすいものの、粉瘤のように嚢壁を持たないため、手術を必要とするケースは稀です。

粉瘤はしばしば無症状ですが、炎症を起こすと痛みを伴い、感染することもあります。そのため、粉瘤が疑われる場合は、専門家の診察を受け、適切な治療を受けることが重要です。

まとめ

粉瘤とニキビは見た目が似ているため混同されがちですが、異なる病態を持っています。粉瘤は内容物を包む嚢壁があり、手術による摘出が必要ですが、ニキビは局所治療や薬物療法で管理可能です。皮膚に異常を感じた際は、自己判断せずに専門医の診察を受けることをお勧めします。